2024年1月12日金曜日

えのぐ 大絶響祭2023WINTER #ONEDAYMORE (12/30/2023 立川ステージガーデン)

 2023年の末に開催されたVRアイドルえのぐのワンマンライブ、大絶響祭2023WINTER-ONE DAY MORE-。

独立前最後のライブ……ではありますが、毎回手を変え品を変え新しいパフォーマンスを見せてくれるえのぐのワンマンライブを楽しみましょう、という気持ちで立川へ向かいました。



第1陣

今回のOvertureはDJを意識したノリの良い曲。さらに階段が割れて出てくるDJ、きらびやかな照明、ダンスチームと視覚的な効果も意識しているようで期待が掻き立てられます。

初っ端の曲は2023年のえのぐの代名詞、星は三度瞬く。当然テンションは爆上がり。さらにIt's 笑 time!のDJパフォーマンスで総合ライブエンターテインメントを強烈に印象付けます。

ライブのために結成されたダンスチームの存在感も負けていません。Dreamin' WorldやYeLL for Dearはダンサーが加わったことで振り付けがよりわかりやすく楽しめました。

第1陣では他にも、楽曲の魅力をじっくりと見せてくれたように思います。

DJが加わってさらにケレン味の増したギザギザコミュニケーション、ハードなサウンドを完全に自分たちのモノにしたPossible、後半戦でも熱さは最高潮の栞。

圧巻だったのはMCで岩本町芸能社の廃業、そして独立を語った後に歌った本編ラストの「えのぐ」。始まりの曲であり、でも曲調が対バン向きではないからかライブで披露の機会はそれほど多くなく。でもこの日の「えのぐ」は最上の仕上がりでした。

そして、一番突き刺さったのがアンコール最後のBrand new stage。サウンドも歌詞もポジティブなパワーたっぷりの曲をここで持ってくる。不安定な未来を抱えているにもかかわらず、いやだからこそ「とびきりの未来が待ってる」と歌うのだという強さ、アイドルとしての矜持といってもいいでしょう。それが無性に泣けてくる。Brand new stageがこれほど泣き曲になるとは思いませんでした。

第2陣

オープニングに続くのはLIVE Ⅳ LIFE。もともと楽しませる仕掛けのたくさんある曲だけど、ツインギター編成、そしてDJが加わることでさらに期待を高めるようなサウンド。次のイレイザー☆ビームも良い。スクラッチ音を交信に見立てるのがおしゃれ。

第2陣は第1からうってかわってほとんど音楽の止まらない構成になっています。

ハートのペンキやOriginal Color Girls!!!!で可愛らしいダンスを堪能したかと思えば、Present for you!ではサンタ役のダンサーが一週間遅れのクリスマスプレゼント、サインボールを投げてくれるという茶目っ気もあり。

キーボード、そしてDJパフォーマンスからシームレスにMagicの衝撃。鏡花水月もガラリと印象が変わります。この2曲は特に、このライブで新たな表情を見せてくれました。

Armor Break、ヴァーチャルバーサーカー、Defiant Deadman Danceの並びはえのぐのライブ史上でも最大級の熱量でしょう。

本編ラストは燈し火。クライマックス、熱の入ったMCにイントロが重なるこの曲は当然良いのですが、ダンサーが燭台を持って燈し火となる演出は総合ライブエンターテインメントの面目躍如。

アンコールのBRAVERはツインギター&DJの贅沢な編成で盛り上げ、続くColorsはドラマチックに。クライマックスでもえのぐ楽曲の幅広さが生きてます。

そして最後は今年の代表曲として打ち出してきた星は三度瞬く。華々しく、しかし爽やかに長丁場のライブを締めくくりました。


新曲とえのぐの変化

さて、上では触れてこなかったけれど、3人がプロデュースした新曲が今回の目玉。どれも今までにないタイプの曲になっていました。


ビリパリッ!!!(白藤環プロデュース)

ファンと一緒に楽しめるような曲というコンセプトに違わずコールたっぷり。こちらの体力も削られます。正直現地では見てる余裕なかったですがダンサーの動きも見どころです。


BAD DANCE(日向奈央プロデュース)

4つ打ちのゴリゴリダンスナンバー。これまでの曲とは求められる歌唱が異なる、挑戦になったであろう曲。体動かすと楽しい!という身体感覚に訴えかけてくる。この曲が今後のえのぐのセトリの幅をさらに広げてくれそうな気がします。


小さな勇気(鈴木あんずプロデュース)

聴き手のツボを的確に突いてくるメロディーラインで、それぞれのソロ歌唱が生きるこれもまたアイドルらしい曲。聴く人を励まし安心させてくれるところに、えのぐの志すアイドル像が見えます。


この新曲3曲に今回のライブの特徴が現れていた気がします。

個人的な話になりますが、デビュー当初からえのぐの存在は知っていて、でもそのときは追いかけてみようとはならず。再び目に留まるようになったのは2021年。BRAVERのタイアップとか10日連続ライブとかの話題だったと思います。4人になったのを知ったのもこの頃でした。

私がライブに初めて参加したのは2022年、すでにライブアイドル路線に振り切っていた頃です。ライブは楽しかったですが、同時に私はどこか背筋が伸びる思いも感じていました。

えのぐのライブ、特にワンマンにはそれだけの気迫があったし、いつもぶつかっている壁とその先に目指すものを正面から伝えていました。それに加え、えのぐの楽曲(特に2021年以降の)は、そんな彼女たちの姿勢を体現するものが多いです。そのせいか、頑張っている彼女たちに対して自分はどうか、それが問われているように感じました。

彼女たちの姿勢は今でも変わっていません。ただ、2023年の夏あたりからはもう少し別な感覚を覚えるようになっていて、このONE DAY MOREでそれがはっきりしました。

地道に積み重ねたアイドル対バンで受け入れられ存在感を示し、その実感を彼女たち自身が得ていること。バーチャルアーティスト業界を底上げしようという意志の見えるVRide!の主催。ある意味、成熟したグループになったということかな、と思います。

だからか、私はこのONE DAY MOREで今までのライブ以上の温かみ、安心感をおぼえていました。

新曲は三者三様個性的な曲ですが、共通するのは7年間活動してきた歴史に立脚した曲であるということです。

BAD DANCEは単純に今まで積み重ねたスキルがないと歌えなかったでしょう。ビリパリッ!!!は、いつもライブに来てコールするほどのファンを地道に増やしてきた結果完成した曲です。小さな勇気でテーマにしていたリアルとバーチャルの壁も、アイドル対バンで活躍し同業者として認め合う経験がないと「一歩踏み出してみよう」なんてメッセージを出そうとは思わなかったはず。どれも、これまでの活動あっての曲です。

初期曲がセトリの重要なポイントに度々組み込まれていたのも印象的でした。第1陣本編ラストのえのぐ、アンコールのBrand new stage、第2陣のColors。

リリース当時に歌われたのとは全く違う形のはずです。当時とは歌唱力も表現力も段違いでしょうし、編成も変わっています。さらに積み重ねた歴史が曲に込められたメッセージに説得力を与えているのかもしれません。ライブで「曲が育つ」という表現がしばしばされますが、まさにこれを度々感じました。岩本町芸能社所属アイドルの集大成として、育った曲たちを見せたかったのかもしれません。

とはいえ、成熟したからといって、挑戦の姿勢が失われたわけではありません。メンバープロデュースの新曲を発表すること自体、事務所に頼れなくなるこれからも楽曲制作に本気で取り組んでいく決意表明という側面もあるでしょう。

独立後のえのぐの道行きにはきっと苦難も多いですが、それでも今からワクワクしています。

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