2024年9月5日木曜日

きのホ。 AJIHEN ツアーファイナル東京公演(8/24/2024 duo MUSIC EXCHANGE)

 新アルバム都スカイハイがあまりにも良くて興味が膨らんできたところにアコースティック&バンドセットのライブがあると知ってこれは行かないわけにはいかないと参加を決定しました。そんな感じなので、あのフロアの中では最もきのホ。のライブを知らない部類の人間だったと思います。

昼の部

アコースティックといいつつも幅広いアレンジが楽しめるライブでした。

桃源京、馬鹿と煙で曲をじっくり味わい、落ち着いて見ることになると思いきやMC明けの相合傘はまさかのサンバ!一転してずっと体揺らして楽しんでました。渋滞も衝撃的。まず小清水さんのラップに度肝を抜かれ、バンドメンバー紹介、ソロ演奏と一曲の中でこんなに楽しんでいいのかと盛りだくさん。かと思えば爛漫、晴天ではこちらの心の奥深くを刺激してくるような情感たっぷりのパフォーマンス。

そして圧巻だったのは夕立雲。魂のこもったMCを終えた小花衣こはるさんがギターをかき鳴らして歌う姿にまず引き込まれ、そしてそれに呼応するようにメンバーにもバンドにも広がっていって会場全体が幸せな空間でした。

今回の編成で実感したのがメンバーのエンターテイナーっぷり。そもそもこんなツアーを企画する時点でファンを音楽で楽しませようというチャレンジ精神たっぷりです。その上で楽器演奏やパフォーマンスにそれぞれの個性が際立っていて、なのにというよりだからこそ全体で見て良い形になっているように感じました。


夜の部

先にバンドが登場し、メンバーがひとりひとり高らかに紹介されていくところでまずテンションが上がる。そして最後に呼ばれた御堂莉くるみさんのパワフルなボーカルから始まるクラベチャウ!オープニングから心を鷲掴みにされました。

そして麗しのタンバリン、TEAとアルバムの熱量強めの曲でたたみかけられ(バンドサウンドが超似合う!)、その後のMCで息を整えている時点で最高のライブになると確信しました。

この流れの中のグッドサインのフロアみんなでサムズアップ→反面教師の流れは最高潮の盛り上がり、初披露の都スカイハイでは空気が一変しました。夏も後半となったこの季節にぴったり、扇子も相まって切なさと鮮やかさを演出してくれました。

相合傘、夕立雲はまさにツアータイトルの「AJIHEN」の楽しみがあり、モーニンググローリーのMCで予習した奇妙なコールも楽しい。

さてここまでアルバム曲中心で今のきのホ。の魅力を最大限に見せてくれて、アルバムを聞いて来た私にとっては期待通りのライブで非常に楽しかったです。

その印象をさらに覆してくれたのが御守ミコさんのMC、そして続くきのみきのままでした。MCを経たきのみきのままの歌詞が決意表明のように聞こえてきて、変わらない根っこを持ちながら変化していくきのホ。のこの先が見たいと強く思わせてくれました。


昼夜通してライブのクオリティが素晴らしかったわけですが、それだけではなくてファンがきのホ。を愛している理由に納得する、そんなライブでした。これからどんなグループになっていくのか本当に楽しみです。

2024年8月20日火曜日

fishbowl 鉢の日(8/8/2024 渋谷WWW・8/12/2024 浜松窓枠)

恒例となったfishbowlの8月ワンマン。先日のTIFの反響もあってか渋谷・浜松どっちも満員の会場でアンコール込みで18曲、たっぷり楽しみました。

さてこの夏のfishbowl、いつからかライブの楽しさが格段に上がった印象があります。どの曲でもひとつひとつのパフォーマンスに見どころがあり、生のこの瞬間を楽しめるライブとしてのパワーが段違いになってました。


まずセトリ(齋藤ザーラチャヒヨニさん考案!)が熱い。

定評のある繋ぎはもちろん(個人的に好きなのは深みに沈み込むような尻尾→九天と完食→六感のシームレス)、猛獣平均踊子の流れがハッピーなオーラに溢れてて楽しい。熱波で最大限盛り上げてからの一雨は、クールダウンというより熱気のうねりを新たなグルーヴに昇華するような体験。

本編ラストに半分、アンコール初っ端に開幕を持ってくるあたりの貪欲さもすごい。そしてアンコールではハチャメチャに熱く魅せてくれる。メンバーの好きな色新衣装はこれまでとガラッと印象が変わります。真っ白な衣装でプリンセスな佐佐木一心さんが力強く拳を掲げるギャップがたまらない。

そしてちょこっとLOVEカバー。言わずとしれた平成の名曲でもちろん楽しいんですが(ステージ上のわちゃわちゃ感!)セトリの中で溶け込んでもいて、今後も要所要所でカバーしてくれたら嬉しいと思ってます。

新体制になってからの成長を感じさせてくれるライブでもありました。一曲目の朱夏は三島の初ライブでも最初に披露された曲で、当時はまだ硬い印象もあったのが今では余裕たっぷり。新体制初期の新曲だった一雨、四季も表現は研ぎ澄まされてフロアの盛り上がりも大違い、半年も経っていないのに感慨深い…。

そして最高のライブとともに今後への期待もしっかり高めてくれました。アンコール準備中にアルバムのダイジェストが流れ(±零 yaya plusがまたも名曲の予感!)、そして浜松のラストMCでは年末の三島でのホールワンマンが発表されました。新体制お披露目イベントは浜松の翌日に三島でしたが、今度は浜松の4ヶ月後の三島。ここまでの変化を考えると、12月の彼女たちはどうなっているのか想像もつかず、それゆえに今からワクワクしています。

2024年6月2日日曜日

タイトル未定 ワンマンライブ東京 TETRAPOD(5/20/2024 Zepp DiverCity)

 1年ぶりの東京ワンマン、2022年のTIFメインステージ争奪戦で立ったZepp DiverCityへの凱旋、現在の体制ラストライブといういろんな意味でメモリアルとなる公演。

私は川本空さんのデビューした頃を知らず、前回のワンマンも2022年のTIFも見ていません。昔から応援していた方々と同じようには感じられなかったでしょう。それでも自分なりの感じ方があり、大切なものを受け取ったことをここに残しておこうと思います。


「春霞」とともにOP映像、そしてメンバーの登場。最初は幕が掛かったままのパフォーマンスでした。少し音響トラブルがあったものの、そこはタイトル未定、歌唱の力強さに引き込まれます。印象に残ったのは、2曲目黎明で冨樫優花さんの「何者にでもなれる」という一言の語り。

幕が下りて、桜味、夏のオレンジとシリアスな前2曲とうってかわって幸福感あふれる2曲。現れた4人の笑顔が印象的です。この落差はバランスを取っているというよりは「全部の感情を届ける」貪欲さを感じます。

冨樫川本の「春霞」。ゆるい雰囲気で登場しましたが、曲も相まって冨樫優花さんが涙してしまうところもあり、ハーモニーにもふたりで声を重ねてきた時間を感じてこちらももらい泣きしそうに。

そして薄明光線。曲中の語りが印象的な曲。空さんの「私って、みんなにとって特別な存在だよね」のアドリブも含め、いつも以上にずしんと響いてきました。

しんみりした空気になりつつあったところでMC、次の曲が新曲壊せと発表。タオルの回し方とシンガロングの練習で期待が高まります。曲が始まると初っ端の阿部葉菜さんの声がいきなり力強く、すぐボルテージは最高潮に。最高に気持ち良い空間でした。

今度は谷阿部でガンバレワタシ。こちらは気安さの中にも暖かみのある、幸せの伝わってくる歌声。

続く「溺れる」は一番の衝撃だったかもしれません。何せAメロの阿部葉菜さん、谷乃愛さんが直前とは似ても似つかない硬質な声で、これはいつもと違うという空気でした。どんどん気迫が増して、ボーカルは慟哭にも似た響きになり、怪演といっていいほどでした。

そしてその後に「僕ら」が来るのだからたまらない。このパートは間違いなくこの日のハイライトでしょう。

MCでこのライブへの思いを語って次の曲へ……というところで、準備が長引いたのか暗転が長く続いて結局MC延長戦に。

偶然で生まれたこのパートのおかげで、次の「にたものどうし」はより沁みたような気がします。この4人でいる時間をいつくしむような歌い方と歌詞のシンクロは、このときのために作られた曲のようにも思えました。

そこからは怒涛のクライマックス。タイトル未定といえばな青春群像、鼓動。そして新たな代表曲ともいえる群青。最高の熱とともに、いったん本編は終了。


鳴りやまないアンコールの声に答えて登場したのはアコースティックバンド編成。ヴァイオリンも入った「踏切」「蜃気楼」の美しさに聞き惚れます。

そして最後の曲、灯火。軽妙で心地よいリズムと、深い愛の込められた歌詞。寂しさとともに、ここに来てよかったという思いがじんわりと浮かんでくる、そんな時間でした。


このライブが特別なものになった理由に、ここでのタイトル未定が楽曲を自分たちに引き付けて、自分ごととして歌っていることがあるように思います。

タイトル未定の楽曲で歌われる内容は、多くが普遍的なものです。でもこのワンマンでは特に、今の自分たちの歌として、それゆえ時に音源とは大きく形を変えて歌われていたのが印象的でした。

栞の「私たちとの思い出を、心の栞にしてください」という語り。

鼓動の何にだってなれ「た」からのアドリブ。

最後の曲の前で、川本空さんは「悩んだとき、いつでも過去を振り返ってください」と語りました。言葉だけ見ると後ろ向きに聞こえるかもしれないこの言葉は、今までのアイドル人生、そしてこの瞬間までが素敵なものであったことを共有してくれているものです。

振り返ってみると、このライブで空さんは、タイトル未定はずっとこのことを伝え続けていてくれたように思えます。

2024年4月15日月曜日

fishbowl テンセイ 東京(4/10/2024 Veats Shibuya)

fishbowlの新体制ワンマン、東京編です。

先日の静岡編とほぼ同じ構成。そのぶんパワーアップがはっきりと感じ取れました。3週間でかなりパフォーマンスが洗練されてきてました。おそらくメンバーも余裕が生まれたせいか、ライブ感を楽しんでいる雰囲気がより前に出ていたんじゃないでしょうか。fishbowlはもちろん音源が素晴らしいグループなんですが、ライブでは音源とは違う臨場感を楽しみたいもの。このテンセイ東京編はその点で新体制一で満足度のあるライブでした。

深海、新体制で見るのは2度目なので今回はさらに深く魅力を感じられたように思います。動きと音のハマり方が気持ちいいし、浮力を感じさせる振りも綺麗。楽曲のことば、リズムが感じられてfishbowlらしさのある良い振り付けです。2曲目の猛獣も新しいフォーメーションが楽しい曲。落ちサビでダンサーふたりが獰猛な表情で動き回るのが最高でした。そこから続く観察や尻尾でも生き生きとした表情が見られてGood。

MCでは今回が新体制での東京初ライブという話題に。佐佐木一心さんは普段緊張しないタイプだけど今日は珍しく緊張している。齋藤ザーラチャヒヨニさんはこの東京ライブで初めてfishbowlに加入した実感が湧いたそうな。

そんな新メンバー、パフォーマンス面の実力は静岡でも見せてもらった通りですが、グループとしてのまとまりもどんどん良くなってきていました。たぶんフロアには初めて新体制fishbowlを見る人も多かったはず。そんな中での後半、ライブでは定番の半分や熱波もしっかり盛り上がり、そして新体制を象徴する一雨で本編は締めくくり。先日MVも公開されたこの曲、すべてが好きなのでもう冷静には見られないんですが、初の東京ライブとなる今回もグッときました。もはや言うことないです。

アンコールで特筆すべきはやっぱり新曲の四季、2度目なんですがどんどん魅力にハマっていきそう。BPM高めでダンスもボーカルもラップもご機嫌なナンバーで気持ちいい!

そしてラスト、先日行われた静岡まつりと縁のある夜桜もちょうどシーズン……というにはちょっと過ぎてたかもしれませんが、地元・静岡の風情を感じさせてくれるのもまたfishbowlの魅力。次会うときはどんな顔を見せてくれるんだろうと、見終わったばかりでも次のライブが楽しみになる、そんな後味を残してくれました。 

2024年3月25日月曜日

fishbowl テンセイ 静岡(3/20/2024 LIVE ROXY SHIZUOKA)

大盛況だったfishbowlの新体制初ワンマンです。

お披露目が終わったばかりの新体制、開演前から期待が集まっているのを感じました。そしてそれ以上の今のfishbowlを見せてくれたライブでした。


1曲目はデビュー曲でもある深海。青い衣装がよく似合ってます。木村日音さん作、新振り付けの披露でした。元の透明感あるしなやかさは踏襲しつつ、時に躍動感で魅せる。曲の、ひいては「深海」ということばの持つ解放のイメージがより強調されたようなダンス。新しい面が見えて、でも変わらない魅力もある。確かなセンスを感じる、fishbowl結成時からこの人がいた影響ってデカいんだろうな…。

次の猛獣も良い。深海とはうってかわって獰猛なパワフルさ。横幅が狭めのROXYのステージでもアクティブです。さらに踊子、尻尾とトーンの違う曲が続き、表現力を存分に見せつけてくれます。

そして予想外の七夕!歌唱に集中して楽しませる曲も用意してくれるのは新体制のいろんな側面を見せようという気概の現れでしょうか。穏やかな気持ちで聞き入りながらも、「君の願いが叶えばいいな」のユニゾンでしんみりと。

後半では二兎、半分とコーレスの楽しい曲が続き、新メンバーもノリノリでこっちのテンションもあがります。

そしてライブでは常連の熱波。人が増えた分「ねっ、ぱっぱらっぱ〜」の動きが華やかで楽しい。ラスサビではタオルをぶん回す!(事前物販でタオル買ってなくて後悔…)続いての平均、五人となるとジャンプもアウトロの回る振りも壮観。

そして新体制の新曲、一雨。本当に良い曲。日音さんのカウントからスタートするのが熱い(三島のお披露目のときとごっちゃになってました)。何気ないワンフレーズワンフレーズが沁みる。サビの傘ダンスや淡い過去になるところのかわいさ。2番のAメロで全員ユニゾンから短いフレーズで歌い継いでいくのが良い…と好きなところは語りきれないほど。

盛り上がりのままアンコールへ。朱夏で爽やかに始まります。結成から3年、もう新人ではなくて、でも新しい形になろうとするfishbowlが歌うこの曲も良い。

続いてはまさかの新曲、四季!いきなりなので衝撃のまま見てて記憶が曖昧ですが覚えてる限りで書くと…ノリが良くてダンサブル。とにかく楽しい。新間いずみさんの大人っぽいボーカルが印象的。今までにないタイプの曲なのでこれからのセトリが楽しくなりそう。

MCではツアーの発表という嬉しいお知らせがありつつ、最後にもう1曲。もともとここで終わる予定だったけど急遽「間に合った」という九天。改めてめちゃめちゃ良い曲、終演後の夜にぴったりの雰囲気の終わりとなりました。

というわけで大満足のライブでした。ワンマンライブとしては新体制初だったわけですが、新メンバーふたりの影響はかなりのもの。パフォーマンス力で即戦力という以上に、fishbowl内での役割を確立し表現の幅を広げているような印象を受けました。

佐佐木一心さんはアイドル経験者で実力はお墨付きだったわけですが、想像以上。総合的に能力が高い。なかでも注目したいのは、新体制では歌割りで今までソロだった箇所をペアで歌うところがいくつかあったんですが、ユニゾンがどれも綺麗。桃子さんとならとびきりかわいく、ザーラさんとは澄んだ響きに。ソロパートで力強い歌い方もできる人だと確信したので、由依さんとのパワフルな組み合わせも見てみたいです。

齋藤ザーラチャヒヨニさん。緊張している様子もありましたが、それ以上にライブを楽しんでいる姿が印象的。そしてもちろん長いダンス歴から繰り出されるキレの良い動きは大きな武器です。押しも押されもせぬダンス担当がいる中に入ってどうなるか…と思っていたけれど、2人いることが新しい世界につれて行ってくれるような気がします。朱夏や新バージョンの深海のような、要所要所に決めどころのある振り付けではあのダンスが生きる。個人的には茶切 dope sideが絶対格好いいと思うので待ってます。

既存メンバーの良さも再確認しました。

大白桃子さん、見せ方に磨きがかかってます。どの瞬間を切り取っても美しい。ハーフツインを披露するのも素敵なサービス精神。

最近ますます歌の中での声の活かし方が洗練されてきた新間いずみさん。この声を聞いて、新体制でも変わらないfishbowlの良さを感じます。

木村日音さんは前述の新振り付けもあり、パフォーマンス面で多くを背負うようになったのかもしれません。そんな中でも自然体で、音楽を好きな気持ちが伝わってくる。ほんとに魅力的です。

良いライブなだけにここに由依さんがいないのが残念ではありますが、裏を返せばこれ以上がある、ということで。今後のfishbowl、いろんな意味で見逃せないです。

2024年2月7日水曜日

THIS IS FEEDBACK RAY presents 「ACOUSTIC & FEEDBACK」(1/30/2024 高円寺HIGH)

 以前から気になっていたRAYのライブ、それも色の異なる2パート。存分に楽しんできました。


前半:ACOUSTICパート

最初の世界の終わりは君とふたりで、音源で聴いたとき良い曲だな〜と思ってた曲なんですが、ギターのイントロが始まったとき一瞬何の曲かわからず、察したときには(表には出さないけど)テンション爆上がりでした。

メンバーが座った状態、ダンスなしで歌うので、体を揺らしたりとか音楽のノリ方が見えるのもいい。

現体制で初めての披露となったオールニードイズラブも素敵。


特に沁みたのはため息をさがして。音源だとガンガン鳴るサウンドの上に乗るので大きく表情がつけられていないヴォーカルで良い形になっているんですが、今回のアコースティック編成だとメリハリのある(メロディに対して見たら素直な?)歌い方で、今まで知らなかったシンガーとしての魅力を感じました。


後半:FEEDBACKパート

Overtureの始まりから衝撃、音量がもう違う。前半とうってかわって体に響いてくる音に期待が高まります。

続いてのネモフィラ。やっぱりというか、音源以上にヴォーカルが聞こえない音……なんだけど不思議とその別の魅力が現れているようにも思えます。埋もれてるからこそ声の楽器としての性質が見えてくるというか、そんな感じでしょうか。ダンスや照明の光の美しさも際立つ。

そして圧巻だったのは続いてのKAMONE。


映像でも一端は感じられるけど現地はその何倍もの衝撃。

音の波は収まることなく続き、ラストはフロンティア。元から盛り上がる曲、だけどデカい音で興奮は増幅して熱狂の域に達して…すごかった。

高揚しているのはみんな同じのようで、会場の熱は収まらずアンコール。予定にはなかったらしく、通常バージョンのフロンティア。結果的にですが、FEEDBACKパートとの違いを味わえる粋な終わりでしょう。

まだ数えるほどしか見てないRAYですが、この先も追いかけていきたいと思わされるライブでした。

2024年1月12日金曜日

えのぐ 大絶響祭2023WINTER #ONEDAYMORE (12/30/2023 立川ステージガーデン)

 2023年の末に開催されたVRアイドルえのぐのワンマンライブ、大絶響祭2023WINTER-ONE DAY MORE-。

独立前最後のライブ……ではありますが、毎回手を変え品を変え新しいパフォーマンスを見せてくれるえのぐのワンマンライブを楽しみましょう、という気持ちで立川へ向かいました。



第1陣

今回のOvertureはDJを意識したノリの良い曲。さらに階段が割れて出てくるDJ、きらびやかな照明、ダンスチームと視覚的な効果も意識しているようで期待が掻き立てられます。

初っ端の曲は2023年のえのぐの代名詞、星は三度瞬く。当然テンションは爆上がり。さらにIt's 笑 time!のDJパフォーマンスで総合ライブエンターテインメントを強烈に印象付けます。

ライブのために結成されたダンスチームの存在感も負けていません。Dreamin' WorldやYeLL for Dearはダンサーが加わったことで振り付けがよりわかりやすく楽しめました。

第1陣では他にも、楽曲の魅力をじっくりと見せてくれたように思います。

DJが加わってさらにケレン味の増したギザギザコミュニケーション、ハードなサウンドを完全に自分たちのモノにしたPossible、後半戦でも熱さは最高潮の栞。

圧巻だったのはMCで岩本町芸能社の廃業、そして独立を語った後に歌った本編ラストの「えのぐ」。始まりの曲であり、でも曲調が対バン向きではないからかライブで披露の機会はそれほど多くなく。でもこの日の「えのぐ」は最上の仕上がりでした。

そして、一番突き刺さったのがアンコール最後のBrand new stage。サウンドも歌詞もポジティブなパワーたっぷりの曲をここで持ってくる。不安定な未来を抱えているにもかかわらず、いやだからこそ「とびきりの未来が待ってる」と歌うのだという強さ、アイドルとしての矜持といってもいいでしょう。それが無性に泣けてくる。Brand new stageがこれほど泣き曲になるとは思いませんでした。

第2陣

オープニングに続くのはLIVE Ⅳ LIFE。もともと楽しませる仕掛けのたくさんある曲だけど、ツインギター編成、そしてDJが加わることでさらに期待を高めるようなサウンド。次のイレイザー☆ビームも良い。スクラッチ音を交信に見立てるのがおしゃれ。

第2陣は第1からうってかわってほとんど音楽の止まらない構成になっています。

ハートのペンキやOriginal Color Girls!!!!で可愛らしいダンスを堪能したかと思えば、Present for you!ではサンタ役のダンサーが一週間遅れのクリスマスプレゼント、サインボールを投げてくれるという茶目っ気もあり。

キーボード、そしてDJパフォーマンスからシームレスにMagicの衝撃。鏡花水月もガラリと印象が変わります。この2曲は特に、このライブで新たな表情を見せてくれました。

Armor Break、ヴァーチャルバーサーカー、Defiant Deadman Danceの並びはえのぐのライブ史上でも最大級の熱量でしょう。

本編ラストは燈し火。クライマックス、熱の入ったMCにイントロが重なるこの曲は当然良いのですが、ダンサーが燭台を持って燈し火となる演出は総合ライブエンターテインメントの面目躍如。

アンコールのBRAVERはツインギター&DJの贅沢な編成で盛り上げ、続くColorsはドラマチックに。クライマックスでもえのぐ楽曲の幅広さが生きてます。

そして最後は今年の代表曲として打ち出してきた星は三度瞬く。華々しく、しかし爽やかに長丁場のライブを締めくくりました。


新曲とえのぐの変化

さて、上では触れてこなかったけれど、3人がプロデュースした新曲が今回の目玉。どれも今までにないタイプの曲になっていました。


ビリパリッ!!!(白藤環プロデュース)

ファンと一緒に楽しめるような曲というコンセプトに違わずコールたっぷり。こちらの体力も削られます。正直現地では見てる余裕なかったですがダンサーの動きも見どころです。


BAD DANCE(日向奈央プロデュース)

4つ打ちのゴリゴリダンスナンバー。これまでの曲とは求められる歌唱が異なる、挑戦になったであろう曲。体動かすと楽しい!という身体感覚に訴えかけてくる。この曲が今後のえのぐのセトリの幅をさらに広げてくれそうな気がします。


小さな勇気(鈴木あんずプロデュース)

聴き手のツボを的確に突いてくるメロディーラインで、それぞれのソロ歌唱が生きるこれもまたアイドルらしい曲。聴く人を励まし安心させてくれるところに、えのぐの志すアイドル像が見えます。


この新曲3曲に今回のライブの特徴が現れていた気がします。

個人的な話になりますが、デビュー当初からえのぐの存在は知っていて、でもそのときは追いかけてみようとはならず。再び目に留まるようになったのは2021年。BRAVERのタイアップとか10日連続ライブとかの話題だったと思います。4人になったのを知ったのもこの頃でした。

私がライブに初めて参加したのは2022年、すでにライブアイドル路線に振り切っていた頃です。ライブは楽しかったですが、同時に私はどこか背筋が伸びる思いも感じていました。

えのぐのライブ、特にワンマンにはそれだけの気迫があったし、いつもぶつかっている壁とその先に目指すものを正面から伝えていました。それに加え、えのぐの楽曲(特に2021年以降の)は、そんな彼女たちの姿勢を体現するものが多いです。そのせいか、頑張っている彼女たちに対して自分はどうか、それが問われているように感じました。

彼女たちの姿勢は今でも変わっていません。ただ、2023年の夏あたりからはもう少し別な感覚を覚えるようになっていて、このONE DAY MOREでそれがはっきりしました。

地道に積み重ねたアイドル対バンで受け入れられ存在感を示し、その実感を彼女たち自身が得ていること。バーチャルアーティスト業界を底上げしようという意志の見えるVRide!の主催。ある意味、成熟したグループになったということかな、と思います。

だからか、私はこのONE DAY MOREで今までのライブ以上の温かみ、安心感をおぼえていました。

新曲は三者三様個性的な曲ですが、共通するのは7年間活動してきた歴史に立脚した曲であるということです。

BAD DANCEは単純に今まで積み重ねたスキルがないと歌えなかったでしょう。ビリパリッ!!!は、いつもライブに来てコールするほどのファンを地道に増やしてきた結果完成した曲です。小さな勇気でテーマにしていたリアルとバーチャルの壁も、アイドル対バンで活躍し同業者として認め合う経験がないと「一歩踏み出してみよう」なんてメッセージを出そうとは思わなかったはず。どれも、これまでの活動あっての曲です。

初期曲がセトリの重要なポイントに度々組み込まれていたのも印象的でした。第1陣本編ラストのえのぐ、アンコールのBrand new stage、第2陣のColors。

リリース当時に歌われたのとは全く違う形のはずです。当時とは歌唱力も表現力も段違いでしょうし、編成も変わっています。さらに積み重ねた歴史が曲に込められたメッセージに説得力を与えているのかもしれません。ライブで「曲が育つ」という表現がしばしばされますが、まさにこれを度々感じました。岩本町芸能社所属アイドルの集大成として、育った曲たちを見せたかったのかもしれません。

とはいえ、成熟したからといって、挑戦の姿勢が失われたわけではありません。メンバープロデュースの新曲を発表すること自体、事務所に頼れなくなるこれからも楽曲制作に本気で取り組んでいく決意表明という側面もあるでしょう。

独立後のえのぐの道行きにはきっと苦難も多いですが、それでも今からワクワクしています。

音源とライブの距離感からRAY『White』を語る

  1 おとぎ 初披露:2024/9/21 RAY現体制2周年記念ワンマンライブ「Perennial」 この最上級の美しさのイントロからアルバムがスタートするのがたまらない。語りかけるようだったボーカルが激情を帯び、轟音アウトロへと流れ込む芸術的な展開。 ライブでも、それまでの流...